法定健診(定期健康診断)とは


定期健康診断

「法定健診(=法定健康診断)」とは

◇広義と狭義

広義では、読んで字のごとく「法律で定められた健康診断」のことであるが、一般には「労働安全衛生法」に定められている健診のことを指す場合が多い。

◇「労働安全衛生法(以下『安衛法』)」の健康診断

一、実施主体:事業主

安衛法66条(または、同法による規則及び諸法令)に基づき事業者に実施義務が課せられている健康診断で、安衛法における「事業者」には、基本的には一人でも労働者を使用していれば該当する。法令違反には、罰則規定もある。

二、受診義務

罰則規定は無いが、労働者側には「受診しなければならない」という義務が課されている。

三、受診後の措置

  • 健診実施後、事業主は健診結果に基づき、産業医から意見聴取して適切な処置をとらなければならない。(作業環境の改善、配置転換、就業制限、休業措置、再検査・精密検査等の受診勧告など)
  • 常時使用する労働者(パート・アルバイト含む)が50人以上の事業主は、定期健康診断を実施後は、遅滞なく「定期健康診断実施報告書」を所轄の労基署へ提出しなければならない。
  • 健診結果については、保存義務あり。(原則5年間、例外で30年間の保存義務が課されている健診もあります)
  • 年1回の実施が義務付けられる一般の定期健診においては、その実施後「血圧・血中脂質血糖・腹囲(又はBMI)」の何れも異常所見があった者は、労災二次健診の対象となる。(脳血管疾患及び虚血性心疾患等の予防)。

四、種類

上記のような『定期健康診断』は、大別して以下の二つに分けられる。

(1)一般健康診断(安衛法66条1項)

  • 雇入時健診(安衛則43条)
  • 海外派遣労働者(出国・帰国時)健診(安衛則45条の2)
  • 定期健診(安衛則44条)
  • 〈35歳を除く40歳未満と35・40歳以上とで検査項目が異なる〉←別途記載
  • 特定業務従事者健診(安衛則45条)

※「特定業務」=深夜業、放射線業務、鉛業務、酸類取扱い業務等の安衛則13条1項2号記載の13業務

※給食従事者の検便(腸管系病原菌)(安衛則47条)

(2)特殊健康診断(安衛法66条2項及び3項、じん肺法)
→特定の物質を取り扱う業務についての健診で、「法規によるもの」と「行政勧奨によるもの」とがある。

以下は、代表的なもの

    〈法規によるもの)
  • 有機溶剤健診(有機則)
  • 石綿健診(石綿則)
  • 特定化学物質健診(特化則)
  • じん肺健診(じん肺法)
  • 電離放射線健診(電離則)
  • 鉛健診(鉛則)
  • 酸類取扱い者の歯科健診(安衛法)など
    〈行政勧奨によるもの)
  • 騒音業務健診
  • 紫外線
  • 赤外線健診
  • レーザー健診
  • 腰痛健診
  • VDT健診など

五、健診項目

◇一般の定期健康診断

A〈35歳を除く40歳未満〉
(健診機関によっては『若年層健診』とネーミングしていたりする)

① 既往歴及び業務歴調査他覚症状有無の検査については医師診察による。
②自覚症状及び他覚症状の有無の検査既往歴
※業務歴調査及び自覚症状有無の検査は、主に問診票使用及びスタッフの聴取によって行うが、場合によっては医師診察時に行う。
③身長(20歳以上の者は省略可),体重
④視力(遠方)
⑤聴力検
(医師の判断のもとオージオメーター以外可≒一般的には『会話法』で実施)
※「会話法」:医師との対話により聴力所見の有無を判断する検査方法
⑥胸部エックス線検査(=所謂「呼吸器検査」)及び喀痰検査
※「喀痰検査」には、幾つか省略可とする規定があり、一般的には「省略」という形をとり行われていないのが実情。
⑦血圧測定
⑧尿検査(尿糖・尿蛋白)

B〈35及び40歳以上〉

①~④までと⑥~⑧は、上記と同じ
⑤聴力検査
→35・40・45歳以上は、オージオメーターによる1000Hz、4000Hzの検査が必須。(1000Hzは、30dB、4000Hzは、40dBで実施)
→41~44歳については、上記⑤と同様に『会話法』による検査方法で差支えない。

以下 上記Aの①~⑧に加えて
⑨血液検査(『採血』)

a)貧血検査 → 赤血球数(RBC)、血色素量(Hb,ヘモグロビン)
b)肝機能検査→ GOT、GPT、γ‐GTP
c)血中脂質検査→中性脂肪(TG)、LDL-c、HDL-c
d)血糖検査→空腹時血糖またはHbA1c(?A1c)

⑩心電図検査(安静時、?誘導)

⑪腹囲測定が加わります。

◇その他の健康診断

  • 「雇入れ時健診」
    年齢に関わらず上記「定期健診」のB(35・40以上の健診項目)とほぼ同じ。
    →異なるのはオージオ検査(聴力)で、こちらは1000Hz,4000Hz共に30dBで測定
  • 「特定業務従事者健診」
    基本的には、上記「定期健診」と同じ。
    (年齢に応じた健診項目の違いも同じ)→但し、胸部レントゲン検査
  • 血液検査
    心電図検査については、年一回の定期健診(上記の「定期健康診断」)を受診した者は省略できる。
    また、聴力検査については、定期健診においてオージオメーターの検査を受診した者は、簡易検査(会話法)等での代替可。
  • 「定期健診」において適用される身長
  • 腹囲
  • 喀痰についての省略条件も適用。
  • 「海外派遣労働者健診」

「雇入れ時」同様、年齢に関わらず上記「定期健診」Bの項目と同じ。
→但し、医師が必要としたときは下記項目が必須。

a)海外派遣時

①胃部レントゲン検査
②腹部エコー
③尿酸(UA)
④HBs抗体
⑤血液型(ABO式とRh式)

b)帰国時
上記①~④に⑤糞便検査(寄生虫卵及び腸管系病原菌)

☆「海外派遣労働者健診」においては、身長及び喀痰検査の2項目しか省略は認められていない。
※上記3つ以外の健康診断
→種類が多いので割愛しますが、取扱い物質や業務内容などをふまえて全て法令において細かく規定されています。

六、実施時期及び対象者

「一般の定期健診」:全労働者(パート、アルバイト含む)が対象で年1回の法定。

「雇入れ時」及び「海外派遣」の健診:該当者に対して随時。

上記以外の健診:対象物質取扱い者または対象業務従事者に対して殆どが6ヶ月毎の実施を事業主に課している。

※対象者は、基本的には該当業務に就業している者であるが、肺がん健診や石綿健診などのように該当業務から離れてもある一定の期間受診させるように義務づけているものもある。

七、労働基準法との関係

安衛法において事業主に健診実施義務が課されていることから、年1回の定期健康診断は、就業時間内に受診させることとされている。

但し、定時時間外の受診時間に対して有給とするか無給とするかは事業主の裁量(判例あり)

一方、特殊健診及び特定業務従事者健診については、業務の性質上必要とされる健診であるため、就業時間内の受診は勿論のこと時間外での受診となった場合には、事業主側は割増賃金を支払わなければならない。更に、同様の理由から未受診者を特定業務等に就業させてはならないとされる。(判例あり)

八、他の法律による健診(検診)

A、特定健診:所謂、メタボ健診。

根拠法は、高齢者医療確保法。保険者に実施義務が課されている。
「保険者」=各健康保険組合、市区町村。
対象者は、40歳~74歳の全国民。

健診項目は、

①問診
(厚労省指針に基づく22項目、高血圧、脂質異常症、糖尿病に関する服薬歴や喫煙歴等あり)
②自覚症状及び他覚症状の検査(所謂「医師診察」)
③身長
体重
腹囲
④BMI
⑤血圧
⑥血液検査

a)肝機能(GOT、GPT、γ‐GTP )
b)血中脂質(TG、HDL‐c、LDL‐c)
c)血糖検査(空腹時血糖又はHbA1c )

⑦尿検査(尿糖・尿蛋白)

※上記のほか医師が必要と判断した場合、下記項目を追加

⑧心電図検査
⑨眼底検査
⑩貧血検査(R、Hb、Ht)
☆上記各項目の健診結果によって、医師
保健師または栄養管理士等による「動機づけ支援」または「積極的支援」の特定保健指導の対象となる。

B、がん検診:根拠法は、旧老健法。現行は、健康増進法。

「保険者」=市区町村
対象者は、基本的には40歳以上。

※但し、各市区町村で35歳以上等としているところもあり異なる)
※子宮がん検診については、20歳以上の女性
※乳がん検診については、基本「視触診+マンモ」

(厚労省からのクーポン対象は、マンモのみ)
(品川区は、区独自で34・36・38歳の方に「視触診+乳房エコー」実施。また、40歳以上の方に視触診+マンモ+乳房エコー」の乳がん健診メニューも用意)

C、その他:学校保健安全法に基づく教職員健診や母子保健法に基づく乳幼児健診、妊婦健診等

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